運動学習の科学:注意の焦点とパフォーマンス。なぜ「身体」ではなく「結果」に集中すべきなのかを脳科学的に解説
意識を身体の外に向けると、脳は運動システムを自動化モードに切り替えます。
「肘を伸ばして」「腰を回して」。これらは一般的なアドバイスですが、科学的には脳の自動プロセスを阻害する可能性があります。なぜ「身体」ではなく「結果」に集中すべきなのか。脳科学的メカニズムを解説します。
下の図の「モード」を切り替えて、脳内のリソース配分と信号の流れの違いを確認してください。
練習中は「フォーム(内部)」を意識した方が上手くいっているように感じることがあります。しかし、翌日や1週間後のテスト(保持テスト)を行うと、「結果(外部)」を意識したグループの方が圧倒的に高いパフォーマンスを維持します。これは「練習のパフォーマンス」と「学習(定着)」は別物であることを示しています。
身体の細部に意識を向けると、運動システムが本来持っている「自動制御機能」が拘束(Constrain)され、動きがぎこちなくなるという仮説。
出典: Wulf, G. et al. (Based on generalized meta-analysis data)
元オリンピック選手がゴルフで苦戦する理由の多くは、彼らが「1」の天才であり、その習慣が「2」を邪魔するからです。
目的:身体そのものを刺激・強化すること。焦点:筋肉の収縮、関節の角度、フォームの美しさ。例:ボディビル、フィギュアスケートの基礎練、リハビリ。
目的:環境に対して変化(結果)をもたらすこと。焦点:ボールの軌道、相手の反応、道具の操作。例:ゴルフ、テニス、バスケットボール、ダーツ。
「フォームを気にするな」と言われても、修正点は気になるものです。重要なのは、修正したい内容を「身体の言葉」から「道具・環境の言葉」に翻訳することです。